ロシア政府が仮想通貨を正式に「通貨」として認定する法案を整備中であると報道されました。
(出典:ロシアメディア kommersant)
kommersantによると、2月18日までにロシア政府とロシア中央銀行が共にデジタル通貨の流通に関する法案を作成すると報じました。
この法案には、デジタル通貨がデジタル金融資産として扱われるのではなく、「通貨」として認定し扱うということも含まれています。
ロシア政府が仮想通貨(暗号資産)を通貨として認定することで、いったい何が起きるのでしょうか。
ロシアが仮想通貨を通貨として認定
これまでのロシアの仮想通貨への扱い

これまでのロシア中央銀行は仮想通貨を容認できなかった
2022年1月までのロシア中央銀行は仮想通貨を全面禁止する方針を取っていました。
仮想通貨への投資は投機的なもので、資産の海外流出や国の金融システムに危険をさらすとしてマイニングや仮想通貨保有・取引を禁止するレポートを出していました。
2021年の段階でも、ロシア中央銀行総裁は仮想通貨への投資は歓迎できないと非難していました。
しかし、ロシア財務省はこのレポートに反対し、財務省局長のチェベスコフ氏は仮想通貨を全面禁止するのではなく、容認しつつある程度規制することを求めました。
仮想通貨の全面禁止はロシアの技術的な遅れを取ってしまう要因になりかねないとして、仮想通貨を禁止すべきではないと警告したのです。
また、プーチン大統領も仮想通貨マイニングにおいて、ロシアの余剰電力を使うことで他国よりも優位に立つことができ、大きな利点になると述べるなどして逆風が吹きつつありました。
2022年2月、仮想通貨(暗号資産)を通貨として容認へ
逆風が吹く中、ついに2月9日、ロシア中央銀行がロシア政府と共に方針を180度転換して仮想通貨を通貨として認定することを決めました。
エルサルバドルのように法定通貨として扱われるわけではありませんが、通貨と認定されたことは非常に画期的で仮想通貨業界にとっては願ってもない出来事でしょう。
2月18日までに法案が作成されるようなので、もうすぐ正式にロシア政府や中央銀行から発表があるかもしれません。
現時点で分かってる法案の内容

まだ法案が提出されたわけではないので詳細は判明していませんが、以下がはっきりしている点(2022/02/11時点)です。
- 仮想通貨(暗号資産)をデジタル金融資産でなく通貨として認定
- 約8000ドルを超える仮想通貨の取引を行う場合は、申告をする必要がある。
- 仮想通貨の取引は、合法化された取引所やP2Pプラットフォームなどの仲介業者や銀行を通じてのみ可能。
ロシアの狙いはデジタル資産を国家の金融システムと結び付け、金融犯罪におけるデジタル資産の使用を防ぎつつ個人投資家の権利を保護することを目標にしています。
このロシアの動きが仮想通貨の高騰につながるか

ロシア国内におけるデジタル資産の保有額は23兆円(世界全体の11%)を超えるとも言われており、仮想通貨市場における非常に重要な国家のひとつです。
その国家が正式に仮想通貨を通貨として認定すれば、仮想通貨市場に良い影響をもたらす可能性は大いにあるでしょう。
エルサルバドルと違い、ロシアは大国であり国際影響力も非常に大きいということも念頭に入れる必要があるかもしれません。
実際、エルサルバドルが2021年6月にビットコインを法定通貨としたとき、下降トレンドから少しずつ上昇トレンドに変わりました。
価格高騰につながるかは分かりませんが、長期的に見れば重要なニュースであるのは間違いないでしょう。
2月18日までに行われる法案が正式に作成され通過すれば、仮想通貨市場にとってより良い状況になるかもしれません。